アメリカど初心者日記

テキサス、ドラァグレースとネットフリックス

ブルックリンハイツを輩出したドラァグバレエ団のインタビュー

ロサンゼルスのフリーペーパー「LA metrosource」に掲載されていたインタビューを和訳しました。

 

ドラァグバレエ集団『the TROCKs』のディレクターであるToryとダンサーのGosaに話を伺いました。(彼らの個人的な話、レーザー治療とココナッツオイルが肌にいいなどの話は省略してます。)

 

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目を惹くコスチュームを纏った非現実的な美でステージを掌握することなど、バレエとドラァグの間にはいくつかの共通点があります。

相違点は、スキルを観客に見せる機会を得るには厳しい伝統的な訓練が必要とされるバレエに対して、ドラァグでは、パフォーマーが自分のスタイルに見合う活動地を選べることと、公式学校のようなものは存在せず、それまでの概念を破るクイーンがしばし大成功を収めます。

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数十年前に「Trocks」と呼ばれるバレエ団がドラァグと出会いました。LGBTQの権利について言及する方法はどんどん変化を遂げています。ドラァグクイーンブルックリン・ハイツはこのバレエ団体の卒業生です。

 

ディレクターTory「ブルックは良い人だった。落ち着いてて素敵な人って表現が彼を的確に表す言葉だと思う。私たちと踊ってたけど、これ以上ツアーを続けたくないと言ってクラブで活動を始めた。

ダンサーGosa「ブルックがバレエ団にいた過去のことを番組で言及した時、世界中の人からメッセージが寄せられた。彼女はとても素晴らしい才能を持ってるし私たちバレエ団の活動をより魅力的に広めてくれたと思う。」

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ドラァグバレエは、古典的なバレエとコメディを組み合わせて表現されている。例えば『白鳥の湖』では、コンテンポラリーダンサーの動きをパロディして、笑えるひねりを加えてる。

チケット代もそんな高くないよ。観客はストレートの人もいるし、バレエが好きじゃない人も楽しめると思う。」

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ディレクターToryは、ドラァグバレエは決して女の真似をしてるわけではないという。「今までたくさんの率直な意見を頂いてる。例えば、「女の子になりたいからゲイなの?」みたいな。今ではもうどうでも良いけど、昔はそれは違うと世界に証明したかった。私は男に恋をする男で、その気持ちが私をゲイにしてるんだと。」

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カミーユや、クレオパトラなど偉大な女性からインスパイアを受けているが、ウーマンフッドの真似事をしたいわけではない。観客に、私たちが女だと思われたいわけではないし、あくまでも私たちはコメディのコスチュームを着てバレエを踊る男であって、パフォーマーの中にはヘテロ男性もいる。」

 

ダンサーGosa「女を演じようと思ったことはない。皮肉的に上品ぶったコケティッシュな女らしい動きをしているだけ。また、男役を演じるときに伝統的なマスキュリニティとの共通点を感じたりもしない。一度も男役に魅力を感じたことがない。ディズニーの王子様のように、胸を張って眉を釣り上げてみるけど、わたしにはしっくりこない。」

 

つまり、マスキュリニティ像に自分のアイデンティティが属さないと感じるから女性役を好むけれども、決して女性になりたいというわけではないという。

 

「この会社の一番良いところは、ツアーを通してたくさんの国を訪れられて、たくさんの人を笑わせられること。旅行のスケジュールはタフだけど自分のスキルを上げるには魅力的な時間の使い方だと思う。忙しすぎて、この数日の休暇は座ってるだけで幸せだった。」

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メキシコシティで訴えられたこともあったし、私達を見た人に「不敬罪」と陰口を叩かれることもある。94年にロシアに行った時、バーの古臭いスターリン主義者に「君たちは今日ショーを行えるけど去年だったら逮捕されてたよ」とわざわざ忠告された。」

 

ディレクターTory「少しだけ若い子たちに伝えときたいのは、気づかないうちに危ない目に巻き込まれることもあるよってこと。例えば、手を繋いでイギリスのbirminghamに行っちゃった時なんかね。数年前にロンドンに行った時、タバコを吸ってたら3人の人間が襲ってきた。いまだにそういうことは起こるから。」

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ダンサーGosa「ドラァグで外に出たことはあまりないから(あるとしてもゲイバーの中でだけ)酷い目にあった経験は少ないけど、わたしは黒人だしゲイだから、その行為によって、どれだけ周りから重圧をかけられるか理解できる。リベラルな場所もあれば、絶対に私達をブッキングしないような地域もあるしね。

 

「もっと私達のことを学んでほしい。あなたの近くの劇場に来てね。」

 

以上。

 

ドラァグ姿で外に出かける行為は、周りから加害を受ける可能性があるんですね。。先日、ロシアで手を繋いだゲイが歩いていると罵声を浴びられたりわざとぶつかられたりする動画がツイッターで回ってきました。

 

ミズクラッカーちゃんが、ドラァグの姿で外に出かける写真をたくさん撮っていますが、あれもプロテストの1つなのかもしれないなあと思いました。

 

「マスキュリニティが嫌いだからドラァグしてるけど、"私たちは決して"女になりたいわけじゃない」と言い切ってるということは、このグループには今まで一度もトランスクイーンが属していなかったんだろうなあと思いました。

 

いつか日本で上演したら見てみたいです。