アメリカど初心者日記

テキサス、ドラァグレースとネットフリックス

なぜ「007 ノータイムトゥダイ」は文化の盗用にあたるのか

最新のジェームズ・ボンド映画である「007 ノータイムトゥダイ」では、事あるごとに日本文化を感じさせるシーンが映し出されている。残念なことに、英語圏では全く物議を醸し出されていないようだが、日本人から見るとこの作品は完全なる文化の盗用であると言えると思う。この記事では、なぜ「007 ノータイムトゥダイ」が日本人にとって問題作と映るのか、理由を述べていく。

 

「物語の展開、キャラクターの背景と関係のない日本描写の連続」

 

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「最大の悪党」とされるサフィンは「能面」と呼ばれる伝統的日本の仮面を被って登場する。また、ラストシーンでボンドと対決する際も、日本風の衣装を着ているが、見て分かる通りサフィン演じるラミ・マレックは日本人ではない。

そこまで日本文化に固執するキャラクターを描きたかったならば、なぜ日本人(せめて東洋アジア系)の俳優をキャスティングしなかったのだろうか?

もし、サフィンの纏う仮面や衣装が、日本文化ではなくアフリカ文化のものであったら観客の反応はどうだっただろうか。英語圏のファンもメディアも「黒人文化の盗用」にすぐに気づいたのではないかと推測する。

「Qが作る中華料理と「日本代表」と書かれた旭日旗エプロン」

ボンドとパロマ(CIAエージェント)がQの自宅を訪れた際に、Qがズッキーニを中華せいろに入れて料理をしているシーンが映し出される。この映画の監督であるキャリー・ジョージ・フクナガは、日系人の父親を持つらしいが、中国と日本文化の区別がつかないのだろうか?それとも意図的に「アジア系文化の区別がつかない白人であるQ」を描こうとしたのかは分からない。

また、Qが身につけているエプロンには「日本代表」と記載されており、旭日旗と富士山が描かれている。世界中で愛されているキャラクターであるQはまさか日本のアジア諸国に対する残虐的な侵略を支援しているということなのだろうか。Qのファンである私はとても混乱をしてしまった。

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「アジアに対する文化の盗用には沈黙する英語圏
悪敵サフィンのアジト内には日本庭園や畳が散見され、日本文化に陶酔している様相を直接的に描いている。それなのに、この映画にはどこにも東洋アジア人が出てこない。

もし、白人しか出てこない映画の中に、アフリカ文化がたくさん表象されていたら、もし、愛されキャラクターであるQが南軍旗の描かれたエプロンを身につけていたら西洋諸国のファンはどう思うだろうか?そんな非常識で他文化にリスペクトのない映画がこの時代に無批判で公開されるとは甚だ考えられない。


もし、この記事を読んでいる人の中に、日本文化が好きな人がいたらぜひ「他国の文化をリスペクトする表現」とは一体どういうものなのか改めて考えてほしい。また、日本のルーツを持っているにもかかわらず、薄っぺらい日本文化の表象をアジア人抜きの映画に詰め込んだ監督であるキャリージョージフクナガは、自分の心の中にある白人至上主義、植民地主義と向き合い、内省して欲しいと心から願う。