先日、ロサンゼルス現代美術館にて『art&queer culture』という素晴らしい本を購入したので、その本を元に自身の勉強がてら、クィアと美術に関する記事を書いていきます。
タイトル:
"a friend of dorothy" by Mcdermott and McGough (1987)
この絵は、
同性愛者に対する侮蔑用語がクロスワードのように散りばめられているアートです。
隠れている用語は、cocksucker、 fairy 、faggft 、pansy 、nellie 、queen 、queer 、mary。
なぜタイトルが「ドロシーの友達」かと言うと、1939年に公開された映画「オズと魔法使い」でドロシーを演じたjudy garland(ジュディ・ガーランド)が当時ゲイの間でとても人気があったため、ドロシーの友達=ゲイを指すシークレットコードのように作者が捉えたのです。
この作品が50年前の映画へのノスタルジーを呼び起こしたように、多くの画家が過去からインスピレーションを受けています。
例えば、
少年のヌード写真を扱った写真家von gloeden(フォン・グレーデン)のホモエロティックな作品は、古代イタリアの神格ファウヌスや農耕社会を想起させます。
グレーデンの作品は、かのオスカーワイルド(戯曲『サロメ』の作者)や、アルフレッド・キンゼイ (19cの性科学者。人間の2.3割が同性愛傾向があることや、女性もオナニーをすることなどを明らかにした。)によって収集されていました。
また、アメリカ初のレズビアン市民団体である「daughters of bilitis」(ビリティスの娘)の名前は、19世紀後半に作られたフランスの官能ポエム「the song of bilitis(ビリティスの歌)」を由来にしています。
(chanson de bilitis by マリーローランサンmarie laurencin)
bilitisは古代ギリシャの女性哲学者であるサッポーと同世代の女性詩人の名前という設定です。
サッポーは同性愛の歌詞をたくさん書いた実在の古代詩人で
レズビアンという呼称はサッポーが住んだ島「レスボス島」にちなんでいます。
このポエムを名前の由来としたレズビアン団体は、外部者に何の組織か尋ねられた際、ポエム愛好会だと答えてたらしいです笑